BMWのGSが切り開いた感のあるアドベンチャーバイク。
そのスタイリングの象徴となるのが、アノ「くちばし」ですよね。
しかし、ソノ「くちばし」何のためのものだかご存知ですか?
何となく想像できますがモヤモヤしますよね…?
アドベンチャーバイクのクチバシの意味
出典;ホンダ
疑問
アドベンチャーバイクと称されるジャンルのバイクは、オンロードから比較的フラットなオフロードまでを走破出来ると言うとても優れた乗り物です。
そのアドベンチャーバイクの多くが採用しているデザインが、クチバシなのはご存知のところだと思います。
クチバシデザインについては賛否両論あるかと思いますが、そもそもクチバシをバイクに付けることでどう言った恩恵を受けることが出来るのでしょうか?
クチバシの意味
やはり、一番大きな意味は、ヘッドライトや乗員を泥や小石から守ると言ったところのようです。
オフロード車の多くが採用している樹脂製で大型のアップフェンダーは高速でバタつき走行性能を妨げる上、空冷エンジンであれば問題ありませんが、水冷エンジンの場合、ラジエーター保護という観点から見ても、あまり都合の良いものではありません。
出典;ホンダ
オンロード車に代表されるダウンフェンダーは高速でのバタつきなどはなく、ラジエーターも確り保護できますが、オフロードでハードに使った場合、跳ねた泥や小石を防ぎきれません。
アドベンチャーバイクは、オンとオフ両方を走行することを想定しているため、高速での安定走行、そして、オフロードでの快適な走破性が要求されます。
オンロードの快適性とオフロードの走破性を両立したデザインがクチバシデザインと言うことのようです。
また、後述べしますが、空力面でも大きな恩恵があるようです。
元祖はGSじゃなかった!?
アドベンチャーバイクと言えばGS
出典;BMW
どうしてもクチバシ付きアドベンチャーバイクと言えばBMWのGSシリーズを思い浮かべてしまいますよね。
それもそのはず、BMWのGSは欧州で人気販売台数ともNo.1のバイクとなっています。
各社、その影響を受けてかアドベンチャーバイクの多くに似たようなクチバシを採用したデザインが施されています。
GSがあまりに売れたため、クチバシ付きアドベンチャーバイクの元祖のように思われている方も多いかもしれませんが、実はクチバシデザインの元祖はBMWではありませんでした。
意外な主人公
バイク歴の長い、バイクマニアの方ならご存知の方もいらっしゃると思いますが、最初にクチバシデザインを採用したのは、スズキです。
なんとなく、V-stromはBMW-GSのパクりじゃないの?なんて思ってまいがちですが、スズキが世界初だったのですね!
スズキが1988年に発売したDR-750(DR-BIG)に世界で初めて「クチバシ」デザインが採用されました。
出典;スズキ
DR-750はパリダカに参戦したDR-Zと並行して開発され、デザインも多くが共通しています。
スズキの開発者の話によれば、当時のほかのパリダカマシンを見て、「ロードモデルの足を長くしただけ」という印象を持ったそうです。
そして、オフモデルに要求される空力性能とスタイリングを追求し生まれたのが、あのクチバシにも似たアッパーカウルでした。
タンクと一体化されたクチバシデザインは当時としてはとても斬新だったのではないでしょうか…。
出典;スズキ
クチバシデザインにはエンジンの冷却性能向上や、ダウンフォースを発生させることにより、走行安定性を高める目的もあったとのことで、実用面でもかなり有効に作用したそうです。
現在、スズキではV-STROM1050に当時のDR-750のカラーリングを施し、販売しています。
出典;スズキ
当時、DR-Z(ディーアールジータ)が、パリダカに参戦していた時のスポンサーがマルボロだったため、DR-750にもそのカラーリングが採用されていました。
まとめ
多くのアドベンチャーバイクに採用されているクチバシデザインの意味は、ハードなオフロード走行による泥や小石から、乗員やヘッドライトを守ると言うこと。
そして、エンジンの冷却性能向上やダウンフォースの発生と言った空力面での良い効果を得ることが出来ると言うことのようです。
そのクチバシデザインの元祖がスズキであったことは少し驚きでしたね。
クチバシのないデザインのアドベンチャーバイクもありますが、社外パーツには後付けのクチバシもあるようです。
出典;楽天市場
賛否は分かれるところだと思いますが、私はクチバシのないアドベンチャーバイクの方が好きです。
あなたはさて?どちら派ですか?